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祖父の記憶~アナログ回帰~活版印刷機

いつも、ご来訪ありがとうございます。
 
先日、とても気になっていた本を買いました。
本と言っても、付録がメインの「付録付き本」のことです。
 買ったのは、第2版の発売後。
第1版は、発売後すぐに完売しており、その時はまだ存在を知らなかったので、知った後は、再販を心待ちにしていました。
 

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「大人の科学マガジン」を買ったのは、今回が初めてです。
なぜなら「活版印刷機」が付録になっていたから。
 
「活版印刷」という言葉すら懐かしすぎるのに、それを製品化、しかも付録!
 
でも、付録だけれど、忠実な再現。本当に小さな活版印刷機。
 
お値段だけみると、簡単に手が出せる金額とは言い難いですが、実際、売り切れになったので、今改めて、活版印刷の良さが再認識されていることに時代を感じています。
 
 
活版印刷とは?
文字の部分を凸型に高くした活字に、インキを塗り、
紙を押し付けて印刷することを活版印刷といいます。
凸型の版には、活字のほかに、
樹脂版や金属版などもあり、
文字や絵をくっきり美しく印刷します。
※大人の科学マガジンHPより
 

 

父の会社の名刺(シンプル過ぎる)が活版印刷でした。

 

今でも、名刺と言えば、活版印刷だと時代錯誤している私ですが、名刺ほど、活版印刷の魅力を最大限に感じるツールはないと思っています。

 

そして、活版印刷と言えば、私の祖父が活版印刷もやる印刷屋さんでした。

 

祖父の家から電車で二駅ほどの場所に、経営する印刷屋はありました。

 

なので、祖父の家に忘れ物があると、電車で二駅乗って、届けたものでした。家族は、同じ敷地にあればどんなに助かるだろうと思っていましたが、祖父は仕事とプライベートをきちんと分けていたい人で、ちょっと頑固な人でもありました。幸い今だったら誰もが納得してくれる時代なのに…と、ちょっとだけ早めに生まれて来てしまったような人でもありました。

 

そんな祖父は、職場に付くと、完全に仕事モードに切り替わるので、活版印刷機を始め、数々の印刷機を魔術のごとく使い分けます。

活版印刷の他に、ガリ版印刷もすれば、オフセット印刷もこなしていました。まさに印刷のプロフェショナルな人で、人生を印刷にかけていたような人でした。

 

部屋は作業をしていない日でも、インクのにおいが充満しており、壁面は、活版印刷で使用するたくさんの活字が大きな木の棚にズラリと並べてありました。

 

そして、数ある小さい活字たちの中から、必要な活字を選び、一つずつ文字を組んでいく、今では考えられないくらい、手間のかかるアナログ作業です。

 

しかし、祖母と叔父のサポートもあってか、請け負った仕事は必ず納期前までには仕上げていたので、信用はとても厚かったようです。

 

母も、子どもの頃からよく手伝っていたそうですが、母は印刷には全く興味がなく、むしろ嫌いで、とにかく早く仕事を終わらせて、家に帰りたかったそうです。

 

しかし、家計を支える為には、そんなこと言っている場合ではなかったみたいです。

 

 でも、仕事熱心な祖父と家族の頑張りがあったおかげで、細々ではあったけど、お客様に愛されながら、長い間、続けることができたのだと、母は回想しながら当時のことを教えてくれました。

 

実際、お客さんの中には、当時NHKの連ドラで活躍されていた女優さんもいて、年賀状の発注が半端なかったそうです。

 

私は、いつも祖父の印刷屋に遊びにいくと、大量にある印刷用紙の中から、ピンクや黄緑など、色のついている用紙をもらっては、落書きや漫画を書くのが日課でした。色がついている紙が自分の中では特別感があり、描いた絵がなぜだか上手に見える気がしたからかもしれません。

 

私の子どもの頃は、印刷屋とともにありました。

 

今は、祖父も祖母も亡くなり、印刷屋さんももちろんありません。

 

しかし、祖父のDNAを受け継いだのかどうかはわかりませんが、気が付くと、同じように印刷や出版に携わる仕事をしてきました。

 

紙が大好きで、紙を使った仕事に無意識に惹かれている自分がいつもいました。

 

転職は何度かしましたが、いつも根本的にあるのは

「紙を使って何かを伝えたい!何か楽しいことを見つけたい!」

という願望だったので、結局は同じような業界を渡り歩いていた感じです。

 

幸い、結婚出産で退職するまでの間、ずっとそのような業界に携わることができたので、本当に楽しい半生だったなと思っています。

 

今では、育児も少しばかり落ち着いたので、また少しずつ何かをしていきたいと考えています。その延長線上にアートセラピーもあります。

 

デジタルネイティブな現在にも拘わらず、アナログ中のアナログである活版印刷が今また見直されているということで、今は、アナログが恋しくなっている時期なんだろうなと、うかがい知ることができます。

 

私は、活版印刷には、昔のタイプライターのように、ダイレクトに印字される凹型の感触にノスタルジーを感じています。近代のプリンターでは、出したくても出せない贅沢な味がそこにはあります。

 

仕事上、パソコンで全て製版(組版)をこなしてきた経験があり、これ以上ない利便性を感じていましたが、活版印刷には、時代が何周しても追いつけない独特な聖域があり、そこがまた魅力なのかもしれませんね。

 

 こちらの本は、活版印刷について、とても詳しく書かれています。

ページもオシャレに構成されていて、出てくる作品も可愛くて素敵なものばかりです。

実際に印刷されたポストカードが付録についているので、イメージも湧きますし、きっと何かを作ってみたくなりますよ。